落葉堆肥農法
かつて、武蔵野台地を含む関東一帯は、火山培土が堆積した関東ローム層(赤土)の土地で、土壌は痩せ、作物を栽培するには適さない場所だったと言われています。
江戸時代、玉川上水が開削され、その周辺への新田開発が進みました。
そのヤセ土だった土壌に私たちの先人は、クヌギ、コナラといったどんぐりの樹の落葉樹を植林し、屋敷林・雑木林を作りました。枝は薪として燃料に使い、落葉は腐葉土にして土壌改良に使われ、現在のような肥沃な黒ボク土の土壌となっていきました。今のこの野菜を育てられる土壌は、400年近い先人の労苦の積み重ねによって出来上がっているのです。
4代目の私が幼い頃まで、冨澤ファームにも屋敷林と雑木林がありました。先代の話によると、やはり枝を薪や、時にはシイタケの原木として使っていたと言っています。そして冬には落葉を集めて苗床の踏み床温床や堆肥として使っていました。諸事情で雑木林を維持できなくなった今、市内の農家は代わりに同じ市内にある国立天文台や国際基督教大学(以後ICU)の雑木林から出る落葉を毎年冬集めています。
そして、この落葉を昔と変わらず、1年かけて熟成・腐葉土にして、育苗土や、落葉堆肥として活用しています。
気づいたら、このようにして、日本の農業は、昔から土地を痩せさせない循環型・持続可能な農業を実践していました。
冬の時期になると、近隣の農家と協力して合同でICUへ落葉掻き作業を行います。ここ数年では、落葉掻きに関心をもってくれたICUの学生さんや、都市農業のファンの方が落葉掻きに参加してくれています。
この強力な応援団のお陰で1週間かかって合わせて2tダンプ10台分集める作業が、3日で終わるようになりました。
お茶の休憩時間には、落葉堆肥農法などの伝統的な農法や、国分寺崖線、ハケの話などで会話を弾ませ、コミュニケーションが図られています。
落葉に埋もれる縁農ボランティアの方
大学にとっては廃棄物ですが、農家にとっては貴重な資源。地域資源の有効活用に努めると同時に、先人たちの労苦に思いを馳せながら、今年も落葉掻きに勤しみます。
1年でふかふかの腐葉土になりました!